糖尿病
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インスリンカートリッジ内に混入した空気 (気泡) がペン型インスリン注入器の精度に与える影響
朝倉 俊成清野 弘明
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2004 年 47 巻 5 号 p. 391-394

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抄録

インスリンカートリッジ内に空気が混入した時の, 注入器の精度に関する検討を行った. 超速効型インスリン注射液 (インスリンアスパルト) 300単位に0.1mL, 0.15mL, 0.5mL, および1.0mLの空気を混入させ, ダイヤル式ペン型インスリン注入器で注入した際のインスリン液量を計測した. 10単位の注入終了後6秒経過した時の液量は, 空気混入なしで9.51単位と適正範囲に入っていたが, その他は適正範囲外となり, 空気混入量が増すことに有意に減少していった. インスリン液の流出停止まで待ってインスリン液の重量を計測すると, 空気1.0mL混入以外は適正範囲内であった. しかし空気0.5mL混入では, 完全にインスリンが流出するまでに約40秒の時間を要した, 本研究により, 多量の空気がカートリッジ内に存在することが適正なインスリン注入量を欠く大きな要因になることが明らかとなった. したがって患者へは, セープティー・マネージメントの一環として注射前にカートリッジ内の空気混入の有無を観察し, 混入した空気を「空打ち」で抜く必要がある.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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