症例は胃部分切除歴を有する, 慢性膵炎に続発した膵性糖尿病の3症例 (47~57歳男性) で, 従来の速効型頻回注射および混合型インスリン療法では低血糖が頻繁に出現していた. いずれの症例も膵外分泌機能低下のみならず, 膵内分泌機能, すなわちインスリンとグルカゴンの分泌能も共に低下していた. インスリンリスプロ (超速効型インスリン) へ変更後は低血糖頻度の減少およびHbA1cの改善を認め, 栄養状態も改善した、本症例における頻発する低血糖発作は胃切除後の影響や膵外分泌機能の低下による消化吸収機能低下に加えて, インスリン拮抗ホルモンであるグルカゴンの分泌低下も一因と考えられた. このような病態における血糖コントロールには, より作用時間が短く生理的なインスリン追加分泌パターンが再現できる超速効型インスリン製剤が有用であると考えられる.