抄録
本論文では, ネットワーク外部性の働く製品市場のモデル化とプレゼント戦略の評価を行う.エージェントベースモデルを用いることにより, 消費者間の相互作用ネットワークを明示的にモデルに取り込むことが可能である.本モデルは, 消費者間のネットワークの構造とネットワーク外部性の効果の関係について明らかにすることが出来る点に特徴がある.シミュレーションでは, 企業の視点に立つことにより, 競争が重要な意味を持つネットワーク外部性を有する製品の市場において, 企業が独立に操作可能なマーケティング変数であるプレゼント戦略を導入し, その有効性の検証を行う.実験結果より, ネットワークの構造と有効なプレゼント戦略には密接な関係があり, 同じ数のプレゼントを行っても構造に応じて効果的な戦略が存在することを示す.