日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌
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交換移植制度におけるドミナントマッチングの適用可能性
臼井 颯汰栗野 盛光大藤 剛宏繁野 麻衣子
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2022 年 65 巻 p. 1-21

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抄録

臓器移植は,他の救命手段のない患者に,他者の健康な臓器と取り替えて機能を回復させる医療である.臓器移植は治療のための最終手段であり移植数を増やすことは重要な課題であるが,臓器を提供するドナーがいても医学的制約と社会的制約により移植不可能なことがある.社会的制約の克服方法の一つに交換移植(ドナー交換移植)があり,交換移植のシステムを導入している国も複数ある.交換移植のなかでも,レシピエントとドナーの2組の間でドナー交換をする循環型は非2部グラフ上のマッチングとして表現できる.移植数を増やすという目的に従うと,安定性の概念を大域的に拡張して要素数の多いマッチングを含むポピュラーマッチングによる交換が一つの方法となりえる.そこで,本研究では,交換移植のシステムとしてポピュラーマッチングのなかで要素数が最大のドミナントマッチングに着目し,ドミナントマッチングを求める発見的解法を示し,その方法を用いて肺移植を対象にシミュレーションをおこなう.

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