図書館界
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日本図書館協会図書館ハンドブック編集委員会編, 図書館ハンドブック 第6版, 日本図書館協会, 2000.5, 652p, 22cm, 定価5,250円(税込), ISBN 4-8204-0503-9
伊藤 昭治
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2005 年 57 巻 4 号 p. 274-275

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抄録

待望の『図書館ハンドブック』第6版が刊行された。5版の出版から15年たっている。この15年は図書館界にも相当の変動があった。1999年にはPFI法の成立,2003年には地方自治法の改正で指定管理者制度が導入され,図書館の施設の管理に民間企業や団体が参入する道が法的に整備された。「民間活力」の導入による図書館づくりである。これは「公」のサービスを「私」が担うことであり,それだけにこれまでの公立図書館論では説明できないものになっていった。図書館員も同様で,地方財政の悪化で専任職員が激減し,非常勤や臨時職員の占める割合が大きくなってきている。そのため司書の資格があっても容易に仕事につけないのが現状である。それに著作権問題の動向などがある。こうした問題を適確に理解するには5版では対応しきれなくなってきていた。こうした事態を背景に編集委員会では次のような見解で「ハンドブック」の作成にとりくんだ。記述の中心を公立図書館に据えるが,すべての館種に目配りをし,図書館の意義,制度,事業,運営,課題等の全般について解説し,実務に役立ち,初心者にもわかりやすい記述のものにする。図書館に寄せる関心が高まるおりから,広く一般の人にも図書館とはどういうものかをわかってもらえるようにすること。『図書館情報学ハンドブック』があるが,本書は「図書館」のハンドブックを作成するものであり,それとは明らかに性格を異にするものをイメージすること。図書館をめぐる社会の動きが急転しており,経営形態や職員問題などで評価がわかれたり意見を異にする問題も増えている。そうした異説のある論争的な主題については,それぞれの観点を客観的に紹介する記述とする。この時期に作成するハンドブックであることにも留意し,「特論」という区分で一章を設けて,若干の現代的な主題を別に取り上げることにする。もちろんそれの基本的・一般的なことは各章の関連箇所でもあつかう,というのが編集委員会の意向であるようだ。そこでこうした意向をふまえたうえで6版に対する感想を卒直に述べてみたい

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© 2005 日本図書館研究会
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