本研究の目的は,一般行政職員による先進的な図書館行政の改革例を調査し,その施策の内容や政策形成過程を分析することを通して,一般行政職員による図書館経営に関し留意すべき要件の検討を行うものである。 戦後多くの公立図書館では,奉仕対象を来館者中心にしており,全住民に向けた多様なサービス開発が十分になされてこなかったため,時代状況に即した図書館活動が展開されていなかった。そこで図書館に異動した一般行政職員は,司書の専門性を理解し,信頼関係を構築するとともに,行政経験を活かしながら司書の能力向上を図り,活発な図書館活動を展開できる状況を構築することに努めた。本研究ではその実践や具体的な考えを形成する過程を分析して図書館を経営するために必要な要件を整理した。 明らかになった要件は,「司書の専門性への接近」,「行政経験と人脈の活用」,「情報資源の広範な活用」,「図書館の特質としてのローカル・ガバナンスの発揮」などであった。
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