現代では学校図書館の分館的機能を持つとされる学級文庫は,児童生徒や教師等の持ち寄り図書から始まったとされているが,その内実は詳らかにされているとは言い難い。本稿では,学級文庫の創始期とされる大正時代,新教育を牽引した奈良女子高等師範学校附属小学校を事例として,同校の教育方法「学習法」上で用いられた,学級文庫内の書物及びその活用状況を調査検討した。学級文庫内の書物が教育方法と密接に結びつき,児童の課題解決に加えて,問いの創出にも一定貢献していた様子から,大正期の学級文庫の多様性を確認した。
本研究はノルウェーの国立文化評議会が出版社から新刊図書を買い上げ公共図書館に配付する「文芸作品調達制度」に焦点を当てて(1)制度の概要・歴史・現状,(2)制度をめぐる議論と課題,(3)ノルウェー文化政策における同制度の位置づけを検討した。分析の結果,文芸作品調達制度は,ノルウェー語・ノルウェー文化の保護に寄与していること,読書材の公正な配付の役割を果たすことで図書館を通じた文化へのアクセスを保障し,民主主義の醸成の場としての公共図書館の役割を強化していることを結論とした。
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