抄録
1.一般好気性細菌180株(22属,103種)を10%グリセリンに懸濁して,-53℃に92ヵ月間凍結保存後,生残菌数を測定して16ヵ月間の保存結果と比較した.2.生残菌数が10^5/ml,10^6/mlおよび10^7/ml以上であった菌株数の割合をみると,グラム陽性菌では16ヵ月保存でそれぞれ89.5%,85.7%および71.4%であったのが92ヵ月保存ではそれぞれ90.4%,83.8%および75.2%であった.グラム陰性菌では16ヵ月保存で96.0%,89.3%および76.0%が92ヵ月保存でそれぞれ80.0%,73.3%および53.3%に減少していた.3.凍結保存抵抗性の属はMicrococcus, Staphylococcus, Brevibacterium, Arthrobacter, Nocardiaの2種,AlcaligensおよびFlavobacteriumであった.4.16ヵ月保存に比べ92ヵ月保存で生残菌数が著しく減少していた属は全属の中でAeromonasのみであった.5.全株のうち16ヵ月保存で1株死滅し,92ヵ月保存でさらに1株が死滅していた.これら菌株の流動パラフィン重層保存では98ヵ月後約70%が生存していた.6.生残菌数測定培地の栄養分濃度を希釈すると計測される菌数が増大する場合があり,菌株によっては5〜10^4倍の増大が認められた.