抄録
本稿では、交流が可能である点に特徴をもつ宿泊施設、ゲストハウスでの交流がいかにして可能になっているのかをオーナーに着目しつつ検討する。本検討を通じて、ゲストハウスでの交流を分析するための視座を獲得することを目指す。その際特に、オーナーがゲストハウスを経営するにあたっての意向や方針を持っていることに注目した。本稿ではこれを「経営の論理」という概念で把握し、交流することを含めた経営諸実践を規定していくものととらえた。そのうえで、「経営の論理」が交流をどのように規定していくのかを検討した。
オーナーへのインタビューから得られたデータの検討によって、「経営の論理」が交流を直接的・間接的に規定する面があること、そして「経営の論理」の源泉としてオーナーのライフヒストリーが重要であることが仮説的に示された。この知見は、ゲストハウスでの交流を検討するための新たな視座を提供するものである。加えて、本稿からはゲストハウスでの交流の度合いが可変的であることが示唆される。この点をふまえれば、本知見はゲストハウスでどのような関係性が生まれうるかという問いを呼び込むことに資するものとしても把握可能である。