観光学評論
Online ISSN : 2434-0154
Print ISSN : 2187-6649
ミャンマーの「政治的観光」再考
髙谷 紀夫
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 2 巻 2 号 p. 107-123

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抄録

本論考は、ミャンマー(旧ビルマ)の観光事象に関する人類学的研究の成果である。同国では、2008年の新憲法で大統領制に移行し、2011年3月にテイン・セイン大統領が誕生した。同大統領は、軍出身で前政権の継承者と目されていたが、民主化勢力のリーダーであるアウン・サン・スー・チー氏に接近するとともに、欧米諸国との外交関係修復に着手し、外国からの経済投資を積極的に誘致している。本論考の主目的は、第一に、21世紀ミャンマーの現在(いま)を、観光研究の視角から報告すること、第二に、ミャンマーの観光事象を概観し、その動向に若干の分析を加えること、第三に、既存のミャンマー観光事象研究を批判的に評価した上で、新たな人類学的知見の可能性を開拓することである。特に、筆者がかつて1990年代のミャンマーの観光事象を形容した「政治的観光」の現況について再考し、若干の考察を提示したい。

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© 2014 観光学術学会
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