島しょ医療研究会誌
Online ISSN : 2435-9904
島しょ医療における脳梗塞急性期患者に対する Drip and Ship 法の有用性の検討
菅 康郎
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2021 年 13 巻 p. 3-8

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抄録

現在脳梗塞超急性期症例では血栓溶解療法ならびに機械的血栓回収療法を用いた早期再開通による神経予後改善効果が認められている. このような状況下で, 島しょ部で発生した症例は専門施設での治療を開始するまでに時間を要する. それを補うための方法として島しょ医療施設で血栓溶解薬( recombinant tissue plasminogen activator ; r t-PA ) を投与開始した後に専門施設へ転送するdrip and ship 法が広く行われている. 当院でも2018年4月から2020年3月までに島しょ部からのdrip and ship 法を施行した症例を11例経験した. 適応を遵守すれば目立った合併症は見られず, 一定の有効性は認められた. ただし急性期脳梗塞に関する昨今のエビデンスの変化は著しく, 今後の症例数増加と臨床転帰改善のためには, 島しょで勤務する医師との最新知識の共有が重要と考えられた.

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© 2021 島しょ医療研究会
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