島しょ医療研究会誌
Online ISSN : 2435-9904
東日本大震災医療救護班活動報告
~平成 23 年 3 月 23 日から 3 月 27 日気仙沼大島での活動~
深水 和子
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2012 年 4 巻 1 号 p. 3-8

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抄録

 今回,東日本大震災から約 2 週間後の平成 23 年 3 月 23 日から 3 月 27 日に気仙沼の大島で,医療救護班の活動を行った.気仙沼の大島は気仙沼湾内に位置する周囲 24km,人口約 3,200 人の東北最大級の離島である.大島で,我々は,避難所でありつつ,保健室で診療を行っている大島小学校で活動を開始した.船の運航の都合により島での活動時間は診察が午後二時までと限られており,その時間内でなるべく多くの患者さんを診るということが非常に重要であった.診療所内は,医療救護班が持ち込んだ物資が散乱し,作成したカルテが整理されていないため見つからない,代薬探しに追われるなどの混乱の中で始まった活動であった.  診療所に訪れる患者さんの多くは慢性疾患を患っており,継続的な薬の処方を希望する患者さんが約 9 割を占めた.診察室内にある限られた薬剤の中で,代用する薬剤の選別や雑然とする診察室内での薬剤の整理など,医療救護活動における薬剤師の役割は非常に重要であり,医師の診療の効率化に大きく貢献した.  また,大島はライフラインの復旧見込みが立たず,衛生面の状況がよくなかったため,感染症予防を行う必要があるとともに,被災者は我々が想像する以上の精神的なダメージを受けていると考えられ,精神的な介入が早期から必要であると認識した.

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