日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-057
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変異原性
N-Hydroxyaminophenylnorharmanのヒト硫酸転移酵素による代謝的活性化
*小田 美光戸塚 ゆ加里若林 敬二
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抄録
[目的]Aminophenylnorharmanは、タバコ煙や加熱食品中に存在するノルハルマンとアニリンがS9 mix存在下で反応することによって生じる発がん性変異原物質である。今回、この物質の水酸化代謝活性物質であるN-hydroxyaminophenylnorharman(N-OHAPNH)がさらにヒト型硫酸転移酵素(SULT)のいづれの分子種により代謝的活性化を受けて遺伝毒性を示すかどうかについて、ヒト型SULTを発現するumu試験菌株を用いて検討したので報告する。[方法]umu試験菌株は新規に開発したSalmonella typhimuriumNM7000(親株)、NM7001(ヒト型SULT1A1産生株)、NM7002(ヒト型SULT1A2産生株)、NM7003(ヒト型SULT1A3産生株)を用いた。化学物質によるumuC遺伝子発現は、β-ガラクトシダーゼ活性を測定した。[結果および考察]N-OHAPNHは、SULT1A2産生株で最も強い細胞毒性およびumuC遺伝子誘導を示し、次いで、SULT1A1産生株が続いた。SULT1A3産生株と親株は、ほとんど同じ誘導を示した。また、SULTの特異的阻害剤である2,6-dichloro-4-nitrophenolは、SULT1A2とSULT1A1の産生株においてN-OHAPNHによるumuC遺伝子誘導を強く抑制することがわかった。これらの結果から、N-OHAPNHの遺伝毒性には、主にヒト型SULT1A2とSULT1A1による代謝的活性化が関与していることが考えられる。
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© 2006 日本毒性学会
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