日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-089
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循環器系
ホルター心電図を用いた連投時の心電図測定_から_安全性薬理試験,毒性試験の欠点の克服を目指して
安東 賢太郎新宅 芳久太田 哲也池田 陽一佐々木 篤志*山下 保志
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抄録
【背景】心電図QT延長作用が問題になってから久しいにもかかわらず,毒性試験では相変わらず非生理的な条件での心電図測定が行われている.また,安全性薬理試験は生理的条件で検討しているもののほとんどの場合,単回投与しか行わないため半減期の長い代謝物の影響を含めた検討をするには難しい.そこで,動物に手術を施さないで使用可能なホルター心電計を用いて薬剤連投時の心電図を測定することによりこれらの欠点を補えるかを検討した.【方法】健常ビーグル成犬,雄,4頭にastemizole 10および30mg/kgを7日間に渡って経口投与し,astemizole投与前後のA-B誘導心電図をホルター心電計(フクダME,HS1000 VL)を用いて測定,解析した. さらに,astemizoleおよびその代謝物であるdesmethylastemizoleの血漿中濃度を測定した.【結果】astemizoleは心電図上のQT間隔を用量依存的かつ経日的に延長させた.また,astemizoleおよびdesmethylastemizoleの血漿中濃度は用量依存的に上昇し、反復投与により特にdesmethyl体で上昇が認められた.【考察&まとめ】astemizoleによるQT延長作用は代謝物であるdesmethyl体が主因とされている.本検討でastemizoleの連投により、desmethyl体の血漿中濃度の増加とQT延長作用の増強が認められたことより,代謝物の作用によるQT延長作用が測定できたと思われた.ホルター心電計は着脱が容易であること,生理的な条件下で十分な心電図の測定が可能であること,代謝物が原因となる心電図異常の測定が可能なことから,今後は本方法を毒性試験や安全性薬理試験に取り入れて行くことは有用と思われた.
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© 2006 日本毒性学会
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