日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-094
会議情報
循環器系
カニクイザルにおけるコンピュータ断層撮影法(CT)を用いた肺傷害の診断
*寳来 直人坂東 崇志楊 秀英葛西 勇人永山 伸一戸門 洋志福崎 好一郎永田 良一阿邉山 和浩福田 良
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】大動物の肺傷害をコンピュータ断層撮影法(CT)により検出・評価することを目的に、カニクイザルを用いたオレイン酸(OA)肺水腫モデルを作製し、肺水腫誘発から2週間後までの経時的なCT画像診断及び画像定量解析を行い、CT検査の有用性を確認した。【方法】動物:カニクイザル(雄、3_から_7才)、9例/群、計18例 肺水腫モデル:OAの0.08 mL/kg、単回静脈内投与(対照:生理食塩液) CT検査:Pre、投与1_から_8時間後及び14日後までケタミン麻酔下(仰臥位)で撮影(Scan pitch: 2 mm、Auklet TSX-003A[東芝メディカル]) 画像解析:後葉背側辺縁部のCT値を算出 諸検査:CT検査前に血液ガス検査、剖検時に気管支肺胞洗浄液検査(BALF) 病理組織学的検査(肺):4時間後、1、3及び14日後、n=2_から_3/時点【結果】CT所見:投与1時間後から各肺葉の辺縁部に異常陰影、4_から_8時間後で顕著なすり硝子陰影・斑状浸潤影が出現した。変化は1日後以降に軽減したが、3_から_14日後に線条陰影が辺縁部に出現した。CT値:4時間後をピークとして増加し、1日後以降は投与前値レベルに低下した。血液ガス:1時間後からPao2は急激に低下し、6日後まで低値傾向を示した。BALF:3日後までALAT、ASAT、LDH及びアルブミンが高値を示した。病理組織学的検査:3日後まで肺胞浮腫、出血、炎症性細胞浸潤、肺胞壁壊死、毛細血管内の血栓形成性等の変化がみられ、3日後で_II_型上皮細胞の過形成、14日後で胸膜線維化及び肺胞壁の線維性肥厚がみられた。【結論】OA投与後のCT所見及び画像解析データは換気機能及び病理変化と深い関連がみられ、CTがサルにおける肺病変の検出、定性・定量的解析に有用なツールになり得るものと考えられた。今後、肺毒性の非侵襲的で経時的な評価への応用が期待される。
著者関連情報
© 2006 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top