日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-185
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試験法:in vitro・代替法
In vitroリン脂質症アッセイのin vivo予測性に関する検討
*高橋 明子高橋 芳戸和 秀一鳥海 亙
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抄録
【背景】リン脂質症(PL)はライソソームにおけるリン脂質の異常蓄積を特徴とし,陽イオン性両親媒性薬物でしばしば観察される毒性変化である.創薬においてはPLのリスクを回避することを目的として,化合物選抜の早期段階でin vitro PLアッセイが利用されてきている.今回,in vitro PLアッセイの予測性を検証する目的で,in vitroアッセイ結果とin vivo毒性試験におけるPL発現の関連性について検討した.【方法】自社62化合物について実施したin vitroアッセイ,およびin vivo毒性試験の成績を基に,in vitroアッセイのin vivo予測性を検討した.In vitroアッセイでは,NBD-PE*存在下でCHL/IU細胞を被験化合物で24時間処理し,細胞内リン脂質の蓄積を蛍光強度の上昇を指標に評価した.In vivoにおけるPL誘発能は,ラット経口投与毒性試験で採材した肝臓の樹脂包埋準超薄切片トルイジンブルー(TB)染色標本における肝細胞のTB濃染小体の出現を指標として評価した.【結果・考察】62化合物中52化合物において,in vitroとin vivoの陽性/陰性判定結果が一致した.結果が一致しなかった化合物のうち5化合物はin vitroで陽性,in vivoで陰性となり,不一致の原因としては血漿未変化体濃度が低かったことが考えられた.残る5化合物はin vitroで陰性,in vivoで陽性となったが,肝臓への蓄積性が高い,あるいはごく軽微なリン脂質の蓄積が胆管上皮に認められる化合物であった.以上の結果から,in vitro PLアッセイがin vivoにおけるPLの予測に有用であると考えられた.現在,化合物の物理化学的性質とPL誘発能の関連性についても検討中である.* NBD-PE: ホスファチジルエタノールアミンの蛍光アナログ
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© 2006 日本毒性学会
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