日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-225
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生殖・発生・幼若毒性
哺乳期雄性ラットの生殖器系に及ぼす4-ヒドロキシベンゾフェノン投与の影響
*田山 邦昭中川 好男坂本 義光安藤  弘久保 喜一湯澤 勝廣長澤 明道矢野 範男高橋  博小縣 昭夫上村  尚
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抄録

【目的】Benzophenone (BP)は紫外線防止剤として広く用いられている.我々はBPの代謝物4-hydroxybenzophenone (HBP)にin vitro, in vivo共に女性ホルモン様作用を有することを報告した(Toxicol 2000, Arch Toxicol 2001 & 2002).しかしin vivoでHBPの雄性生殖器系への影響を調べた報告は少ない.そこで,感受性の高い哺乳期雄性ラットへのHBP投与を行い,その影響を調べた.【方法】妊娠Crj:CD(SD)IGSを購入し,雄産仔について出生2日目より21日目までHBP〔0 (DMSO; 溶媒対照), 0.01, 0.1, 1, 10, 50, 100 mg /kg/day〕および17β- estradiol 〔陽性対照; 0.001mg /kg/day〕を皮下投与した. 一部は22日齢で,残りは離乳後,13週齢で剖検した.体重は離乳まで毎日,その後毎週測定した.剖検時に生殖器系の臓器重量を測定し,ホルマリン固定標本について病理組織変化を観察した.13週齢では精子パラメ_-_タ(精子数・運動性等)についても粒子計測装置・精子分析器による方法(Reprod Toxicol印刷中)で検討した.【結果および考察】HBP投与群の体重は対照群と比べ高濃度群で小さい傾向を示した.臓器重量は,22日齢ではHBP高濃度群で前立腺・精巣上体の絶対重量に減少がみられたが,相対重量には変化はなかった.13週齢では各臓器の絶対・相対重量に差は認められなかった.22日齢および13週齢の病理組織学的観察ではHBP投与による明らかな変化はみられなかった.また精子パラメ_-_タにも影響はみられなかった.22日齢の高濃度群での臓器重量の減少は体重の低下傾向の影響であると考えられた.以上より哺乳期雄性ラットへのHBP 投与(0.01-100 mg/kg) は生殖器系には影響を及ぼさないことが示唆された.

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© 2006 日本毒性学会
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