日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: WS3-2
会議情報
動物実験代替法(動愛法に定められた3Rs原則の実現のために-動物実験代替法の最近の進歩-)
局所毒性試験代替法(皮膚腐食性試験と刺激性試験、光毒性試験)
*小島 肇
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抄録
局所毒性の中で、眼刺激性試験について、1991年日本動物実験代替法学会が代替法バリデーションに着手した後、厚生科学研究および日本化粧品工業連合会等の共同研究に引き継がれ、結果的に代替法を用いて化粧品原料の眼刺激性を評価するためにあたっての指針が1998年に日本でまとめられた。ただし、欧米で行われたバリデーションにおいて代替法として認められた方法は確立されていない。
他の局所毒性代替として、腐食性試験は培養皮膚モデルや摘出皮膚を用いた試験法がOECDガイドラインに2004年に掲載された。日本においても、厚生労働科学研究において日本製の培養皮膚モデルにおけるバリデーションを2004年に行い、欧米のバリデーションと同等の結果を得ている。現在さらに、蛋白変性を指標としたモデルを用いた試験法のガイドライン案がOECDで検討されている。
光毒性試験では、ドイツのグループがBalb/c 3T3細胞を用いニュートラルレッド取り込みを指標とした試験法をOECDガイドラインに2004年に掲載させた。日本でもこの試験法の有用性について、平成14年度厚生労働科学研究にて評価を行っている。さらに、資生堂が開発した酵母_-_赤血球試験のバッテリーによる評価を現在、厚生労働科学研究班と日本動物実験代替法学会にて検討している段階である。
皮膚刺激性試験の代替法も長年検討されてきた試験法の一つである。欧米のバリデーションでは、まだ最終的な結論がでていない。日本でも動物実験代替法学会を中心に複数回のバリデーションを実施してきた。結論を簡単にまとめると動物との一致性よりもヒトの刺激性との相関が高いという結果を得ている。
以上、局所毒性の中で、皮膚感作性試験を除く各試験法の代替法に関するこれまでの日本を含む国際的な動向をまとめた。まだ、バリデーションや評価を実施中の試験法も多く、局所毒性でも簡単に代替が進まない現状である。
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© 2006 日本毒性学会
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