日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-41
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毒性発現機序
化合物CP-744809(Aldose reductase inhibitor)のラット網膜光受容体細胞層に対する毒作用と化合物由来の活性酸素産生能に関する検討
*周 玉北澤 郁恵板村 理央磯部 雄司藤川 真章山田 弘中村 孝昭堀井 郁夫
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抄録
[目的] Aldose reductase inhibitorである化合物CP-744809を用いたラット6ヶ月毒性試験にて、用量依存性網膜光受容体細胞層(retinal photoreceptor cell layer, RPCL)の消失が観察され、RPCLにおける当障害が本化合物の化学的性状に由来した活性化酸素(ROS)産生能に影響している可能性が示唆された。そこで本研究ではROS scavenger関連検索を基としているIn Silico光毒性評価法およびIn Vitro 3T3 neutral red uptake phototoxicity test (3T3試験)を用いて本化合物の光感受性評価を実施するとともに、RPCL消失のメカニズム解明の一環としてROSの生成について検討を行った。 [方法] In silico光毒性評価は分子共役構造部位の電子励起の起こり易さ(HOMO-LUMO gap energy)をSoftware-Jaguar 5.5にて数値化することによって実施した。3T3試験はOECD guidelineに準拠して行った。CP-744809のROS生成能については3T3試験系にH2O2と・O2のscavengerであるMannitolあるいは一重項酸素(1O2)のscavengerであるHistidineを添加することにより測定した。 [結果と考察]In silico光毒性評価法(HOMO-LUMO gap energy<10.5 eV)および3T3試験(MPE>0.15)のいずれにおいてもCP-744809の光毒性が認められた。CP-744809の光毒性はROS scavengerであるHistidineあるいはMannitolを添加することにより抑制され、特にHistidineの作用は顕著であった。網膜障害に光受容体細胞における1O2の生成が関連することが報告されていることから,ラットで認められたCP-744809投与によるRPCLの消失はその一因として本化合物が光を吸収した際に生じる1O2の生成に起因する可能性が示唆された。
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© 2007 日本毒性学会
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