抄録
-外資系企業へのアンケートの結果について
-今後期待されるリスクマネジメントシステムについて
ICH E2E Step 5「医薬品安全性監視の計画について」、FDAの「リスクマネジメントガイダンス」やEMEAの「ヒト用医薬品のリスクマネジメントシステムに関するガイドライン」が2005年に相次いで施行され、市販後だけでなく市販前についても医薬品のリスクマネジメントが要求されている。しかしながら、国内では市販後だけでなく市販前も含むリスクマネジメントシステムの構築は多くの企業で試行錯誤の状態であり、さらにリスクマネジメントシステムに非臨床の分野が組み込まれる可能性は低いのではないかとも推定される。しかしながら、米国や欧州といった西欧諸国ではリスクマネジメントシステムの構築にしっかりと取り組んでいる製薬企業もある。
このような状況から、医薬品のライフサイクルを通したリスクマネジメントシステムの構築について各製薬企業がどのような取り組みをされているか、特に非臨床安全性からのアプローチについて把握するために、2006年9月に、外資系製薬企業を対象にアンケートを実施したのでその結果を提示する。
さらに、アンケートの結果を踏まえて国際的動向と国内の現況とのギャップについて整理するとともに、望ましい“リスクマネジメントシステム”について提案したい。
今後、段階を経てこのギャップを埋めて行くにはどのようなプロセスが必要であろうか?
トキシコロジーサイエンスの視点を起点として、国際的動向を取り入れた“Safety Science”をベースにしたリスクマネジメントシステムの構築へ向けて、本アンケート結果を手掛かりに幅広いディスカッションが展開されることを期待したい。