主催: 日本トキシコロジー学会
抗体医薬は、今や様々な領域において画期的な効果を発揮する新薬が登場し、コストの高さという難題はあるものの、従来の治療方法をドラスティックに進歩させるまでになったものまである。このため、あらたなアイデアの抗体医薬の開発は今後ますます活発になるものと思われる。そうした矢先に昨年3月に英国で発生したTGN1412によるFirst in Human Studyでの事故は世界中を揺るがした大事件であり、抗体医薬の発展に大きな影を落とすことになるのではないかと一時は深刻に危惧されたことは記憶に新しい。
我が国において、このような事態が起こりえないとは断言できないのが現実であり、それに備えながら、如何にして画期的な抗体医薬の開発を円滑に進められるようにするのか、安全性を確保しつつ、多くの患者の期待を裏切らないように妥当な時間とコストの範囲でチェックを行うにはどうしたら良いのかを、我々治験に関する規制や承認審査を行う立場のreviewerは何に着目し、どのようなプロセスを用意して必要なチェックを行うべきなのか、現状をご紹介しながら考察したい。