日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: S5-2
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In Silico手法による化学物質の有害性評価の試み
In silico手法による化学物質の分解性・蓄積性の評価
*米澤 義堯
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キーワード: In silico, 生分解性, 蓄積性
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抄録
環境を経由した化学物質による有害影響の管理では、化学物質のもつ有害性と同時に、その、環境動態の評価が不可欠である。化学物質の生分解性と蓄積性はこの環境動態評価のための重要な因子であり、化学物質審査規制法においても、化学物質の管理のための初期スクリーニング情報として活用されてきた。化学物質審査規制法の既存化学物質安全性点検事業では、これまでに1000物質以上の既存化学物質の分解性試験データ及び蓄積性試験データが取得されており、これら試験データを活用して、構造活性相関による分解性・蓄積性の予測システムの開発が行われ(H12~H18、NEDO「既存化学物質安全性点検事業の加速化プロジェクト」)、現在、未試験既存化学物質の中から優先的に試験すべき物質の選定に利用されている。 しかし、構造活性相関は、一般に反応機構を共通とする物質群内での化学構造とその反応性の関係の記述に力を発揮するものであるが、化審法で評価対象とすべき化学物質の幅は大変に広いこと、また、分解性や蓄積性のメカニズムが大変に複雑であることから、適用に限界のあることも事実である。このため、適用すべき物質をグループ化し、それぞれについてより適用性の高い相関を求めることが必要となる。 このグループ化においては、多様な観点からの判断材料を明示することにより、設定した適用グループを定義しながら評価結果を導き出す、カテゴリーアプローチが有効であると考えられる。現在、OECDをはじめ国際的にもカテゴリーアプローチは盛んに検討されているが、現状ではまだ概念的であり、本格的に実用化するためには、より多くのケース・スタディーが必要となる。本講演では,分解性と蓄積性について、未試験物質に対する類縁物質の選定方法、信頼性の高い試験データの見分け方、構造上の特徴や代謝情報等の判断材料を推定にどのように活用するか等について検討結果を報告する。
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© 2009 日本毒性学会
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