日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-84
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優秀研究発表賞応募演題
低用量の化学発がん物質処置によるin vitro transformation感受性の低下
*荻田 郁弥小野寺 章柏村 麻子堤 康央伊藤 徳夫
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抄録

【目的】放射線による発がんは確率的影響に分類され、いかに低線量であっても害があると考えられてきた。一方、ごく低線量の被爆は、むしろ生物にとって有益であることを示す報告が複数存在する。化学発がんにおいても類似の現象が認められる可能性を考え、アルキル化剤N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(MNNG)をモデルに、低用量の化学物質が細胞のin vitro transformation(悪性形質転換)感受性に影響するか否かを検討した。【方法】使用した低用量の設定は、Balb/c 3T3細胞を用いたコロニー形成試験法により生存細胞率が98%あるいは95%を示す用量とした。細胞のin vitro transformationはfocus 形成試験により解析した。【結果・考察】低用量のMNNGで細胞を処置すると、自然発生focusの出現頻度が有意に低下し、高用量域では濃度依存的なfocus形成の増加を認めた。さらに、低用量で一過性に前処置することで、以後の高用量処置で誘発されるfocus形成が顕著に抑制させることを見いだした。低用量のMNNG処置が細胞にどのような変化をもたらすのか、抗酸化系や損傷修復系、細胞周期、アポトーシス等に注目した解析を行っている。

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© 2009 日本毒性学会
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