日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-43
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一般演題 ポスター
新規in vivo遺伝子突然変異評価系(Pig-aアッセイ)の検討:骨髄エリスロイド及び末梢血網状赤血球を用いるPig-aアッセイの開発
*木本 崇文千藏 さつき鈴木 久美子小林 小梅板野 泰弘Vasily N. DobrovolskyRobert H. Heflich堀端 克良本間 正充三浦 大志郎笠原 義典
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抄録

我々はPig-a遺伝子が細胞膜表面上GPIアンカータンパク(CD59 etc.)の合成に必須である点に着目し、新規in vivo遺伝子突然変異評価系(Pig-aアッセイ)の開発を進めている。Pig-aアッセイは、化学物質を投与した動物から骨髄または微量の末梢血サンプルを採取し、市販の蛍光標識抗体を利用してGPIアンカータンパク陰性細胞の出現頻度をフローサイトメーターで測定し、in vivo遺伝子突然変異を評価する手法である。中でも末梢血を用いる方法は動物を生かしたまま評価できること、微量の末梢血で評価できることから、一般毒性試験など他の試験に組み込んで実験動物数の削減にも寄与することが期待される。今回我々は、ラット赤血球系細胞を特異的に認識する市販抗体(HIS49)と、増殖性マーカーとして知られるCD71を特異的に認識する市販抗体を利用し、末梢血中の網状赤血球に特化したPig-aアッセイと、骨髄エリスロイド細胞に特化したPig-aアッセイをそれぞれ開発した。ラットに代表的な遺伝毒性物質ENUを単回投与し、それぞれの改良法を用いて経時的なPig-a変異頻度を評価した結果、いずれの方法も既存の全赤血球を対象としたPig-aアッセイに比べ、Pig-a変異頻度の増加をより明確にかつ早期(投与後1週)から検出できた。特に網状赤血球を対象とした系は、骨髄でのPig-a変異頻度と高い相関性を示しており、かつ末梢血サンプルから網状赤血球を抗体磁気ビーズで濃縮することで100万細胞を短時間(5~8分)で測定できる点から、効率的かつ正確にin vivo遺伝子突然変異を評価できる方法として期待される。 本研究は平成22年度において、ヒューマンサイエンス振興財団主催の政策創薬総合研究事業「統合型毒性試験系による安全性評価手法構築に関する研究(KHB1006)」の一環として実施した研究の成果である。

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© 2011 日本毒性学会
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