日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-110
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一般演題 ポスター
RccHanTM:WISTラットの104週間飼育データ ―Crl:CD(SD)ラットとの比較―
*三木 篤子相見 真紀橋本 知水友成 由紀岩井 淳大西 康之平塚 秀明
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抄録
【緒言】Wistar Hannoverラットは長期飼育における生存率が高く自然発症性病変が少ないことから癌原性試験への有用性が期待されているが,日本での使用実績は少ない.我々はRccHanTM:WISTラットの癌原性試験への使用に向けて104週間飼育の背景データを集積した.本ラットの特徴を,Crl:CD(SD)ラットの104週間背景データと比較し報告する.
【方法】6週齢のRccHanTM:WISTラット(株式会社日本医科学資材研究所より入手,以下WH)の雌雄各50匹をつり下げ型金網ケージで104週間個別飼育した.飼料はCR-LPF固型飼料を自由摂取させた.飼育期間中は滅菌済み水道水を週5日間経口投与し,一般状態を1日1回毎日観察した.体重及び摂餌量を1週間に1回(26週以降は2週間に1回)測定し,内臓の触診を含む詳細観察を週1回実施した.飼育終了後に剖検し,血液学的検査,生化学的検査及び器官重量測定を実施した.
【結果】104週経過時の生存率は,雄72%,雌76%であり,SDラットの生存率(雄42%,雌42%)と比較して高い数値を示した.途中死亡・瀕死期解剖動物の死因・衰弱原因は,雌雄ともに下垂体腫瘍が最も多く,雄では途中死亡・瀕死期解剖動物中の43%,雌では67%を占めた.SDラットでもこの傾向は同様であるが(雄38%,雌72%),SDラットの雌で多い乳腺腫瘍(38%,下垂体腫瘍と同じ動物も含む数値)はWHラットの雌では8%であった.104週経過時の体重は,雄549.9 g,雌399.8 gであり,同週齢のSDラット(雄771.8 g,雌481.2 g)と比較して小さく,その傾向は雄でより顕著であった.摂餌量は雄25.94 g,雌22.28 gであり,同週齢のSDラット(雄29.04 g,雌23.09 g)と比較して少なかったものの,体重当たりの摂餌量は飼育期間を通してWHラットが高い傾向を示した.血液学的検査では,赤血球数がSDラットと比較して高値であり(雄は117%,雌は122%に相当),白血球数が低値であった(雌は58%,雌は62%に相当).また,器官重量では副腎重量がSDラットと比較して低値であった(相対重量で雄は79%,雌は69%に相当).組織学的検査は現在実施中である.
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© 2011 日本毒性学会
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