日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-121
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コンピュータを利用した精子解析画面によるジブロモクロロプロパン投与ラット精子の形態評価
*大谷 勝己山崎 蒼
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抄録

【目的】筆者らは既に第33回トキシコロジー学会において内分泌撹乱化学物質であるジブロモクロロプロパン(DBCP)によるラット精子のミトコンドリア代謝能の低下についてコンピュータ画像解析法(CASA)との比較検討により発表した。その後 CASAを利用している間に(1)塗沫や染色の操作を必要とせず無傷の状態の精子の形態を観察できること、(2)画像を容易に保存できること、(3)暗視野の画像のために未成熟精子を肉眼で検出しやすい、などの有用性を見出した。そこで、今回はもう一度DBCPを試験物質としてCASAの画像による形態解析の利用法について述べることにする。 【方法】12週齢F344雄性ラットに溶媒としてオリーブオイルとともにDBCP (25 -100 mg/kg)を週2回4週間皮下投与した(全8回投与)。対照群には溶媒のみを投与した。1週間の休薬の後、ネンブタールで麻酔して解剖し、生殖臓器重量等を測定した。5%牛血清アルブミンを含むメディウム199中で、精巣上体尾部に鋏をいれ、精子を培地中に浮遊させ、CASA(機種はハミルトン社製IVOS)による各種運動能パラメーターの測定等を行った。またCASAにおける拡大画像を保存し後日画像を呼び出し、短形精子、未成熟精子、無頭精子、無尾精子を計測し最終的に正常精子率を求めた。さらに、精巣上体尾部を均質化し染色後CASAにより精子数を求めた。 【結果】DBCPの75 および100 mg/kg投与群において有意な精子減少を確認した。運動能に関しても75 および100 mg/kg投与群において運動能の急激な低下を認めた。他方、正常精子率もまた75 および100 mg/kg投与群において減小を認めた。また、頭部・尾部離断精子が同様の群で顕著に多く認められた。 【考察】DBCPの影響として精子数の低下、精子運動能の低下は従来から認められていたが、運動能低下の原因は頭部・尾部離断精子の増加によるものと思われる。また、精子尾部の形態解析には本法が有効と考えられる。

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© 2011 日本毒性学会
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