日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-123
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一般演題 ポスター
骨髄小核試験におけるSprague-Dawley ラット及びWistar Hannoverラットでの系統差に関する検討
*寺島 ゆかり小林 一男横井 亮平高倉 郁朗丸山 喜正茅野 友信田原 享黒田 淳二
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キーワード: 小核, 骨髄, 系統差
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抄録

[目的] Wistar Hannover(WH)ラットは欧州で毒性試験に頻用されている系統であり,長期飼育における高い生存率等からその有用性が日本でも認知され,国内においても使用されつつある。そこで,WHラットを用い,既知の小核誘発物質を投与し,その小核誘発性についてこれまで小核試験に広く使用されている系統であるSprague-Dawley (SD) ラットと比較した。 [材料および方法] 被験物質としてCyclophosphamide (CP), Mytomycin C (MMC) 及びEthyl methanesulfonate (EMS) を用いた。9週齢の雄性SDラット(Crl: CD(SD))及びWHラット(RccHan: WIST)に,被験物質を単回経口又は腹腔内投与し,24時間後に骨髄塗抹標本を作製した。アクリジンオレンジ染色後,1個体あたり2000個の多染性赤血球を観察し,小核出現頻度を求めた。また,ニューメチレンブルー超生体染色後,1個体あたり1000個の赤血球を観察し,網状赤血球比を求めた。 [結果及び考察] CP, MMC及びEMSの投与により,いずれも用量依存的に小核出現頻度の有意な増加が認められ,その反応性にWHラットとSDラットとの間で違いは認められなかった。また,網状赤血球比にも系統間で明らかな差は認められなかった。以上より,既知の小核誘発物質による小核誘発性について,WHラットとSDラットとの間に系統差は認められず,骨髄小核試験でSprague-Dawley ラットにかわり,Wistar Hannoverラットを使用することに関して,遺伝毒性の評価に影響を与えることはないと考えられた。

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© 2011 日本毒性学会
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