日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-127
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一般演題 ポスター
ラットにおける免疫毒性試験及び安全性薬理及び遺伝毒性検査項目の組込み
*小松 弘幸鈴木 慶幸橘田 久美子江田 景末岡 綾乃久保田 貴之高尾 みゆき河治 早苗小林 立弥佐藤 福弘山中 妙子秋江 靖樹
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抄録
【目的】免疫抑制剤(シクロスポリンA,シクロフォスファミド)をラットに28日間反復経口投与し,免疫毒性試験(リンパ球サブセット,T細胞依存抗体産性能)の背景データ取得し,同時に安全性薬理(呼吸,中枢)及び遺伝毒性(骨髄小核)検査項目が本試験へ組み込み可能であるかを検討した. 【材料及び方法】媒体(0.5%メチルセルロース),シクロスポリンA(20mg/kg)及びシクロフォスファミド(5mg/kg)を雄ラット(Crl:CD(SD),SPF,投与時6週齢)に28日間反復経口投与した.グループ1(免疫病理試験)は各群10例とし,投与終了後に血液・血液生化学的検査,病理学的検査,リンパ球サブセット解析(血液,脾臓及び胸腺)及び遺伝毒性(骨髄小核検査)検査を実施した.グループ2(抗体産生能試験)は各群10例とし,経口投与第9日及び23日にKLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)を尾静脈内投与した.経口投与第15日目及び最終投与翌日に採血しKLH特異的IgM及びIgG抗体量をELISA法で測定した.中枢神経系の評価は各群半数例を用い初回投与時に投与前,投与後0.5,1,3及び6時間の計5時点について.機能観察総合評価法(FOB)に基づき実施した.呼吸機能は各群半数例(FOBで使用していない動物)を用いて,FOBと同じ計測時点でWhole body plethysmograph法で実施した. 【結果及び結論】シクロスポリンAは胸腺のヘルパーT細胞(CD4)を減少させ,抗原特異的抗体産性能を低下させた.一方,シクロフォスファミドは脾臓のB及びT細胞を減少させ抗原特異的抗体産生能を低下させた.これらの試験条件下において安全性薬理パラメーター(中枢系,呼吸系)に変化は見られなかった.また,遺伝毒性物質であるシクロフォスファミドは小核検査で陽性反応を示した.従って,今回実施した免疫毒性試験の方法によって安全性薬理,遺伝毒性検査項目も同時に評価可能であることが示された.   以上,本試験結果より,今回確立した試験系によって免疫毒性を十分に検出でき,同時に安全性薬理(中枢系,呼吸系)及び遺伝毒性も評価可能であると結論された.
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© 2011 日本毒性学会
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