日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-146
会議情報

一般演題 ポスター
食餌成分がマウス肝遺伝子発現に与える影響
*杉原 数美佐光 華佳荒井 美幸佐能 正剛北村 繁幸藤本 成明太田 茂
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】離乳期のラット・マウスで、肝シトクロムP450(CYP)1A1をはじめとするいくつかのCYP分子種の活性が著しく上昇することより、食餌成分の薬物代謝酵素系への影響を調査している。これまでの研究で、妊娠前より精製成分で構成された精製飼料でマウスを妊娠前から飼育し、出生した仔を同一飼料で飼育した場合、肝薬物代謝酵素活性が通常飼料飼育時より低下することを見出している。そこで、これら飼料による影響をさらに調べるために、DNAマイクロアレイを用いて肝遺伝子発現への差異を検討した。
【実験方法】マウス(C57BL/6JJcl)を通常飼料(オリエンタル酵母MF)あるいは精製飼料(AIN-93G)で妊娠前より飼育。妊娠、出産後も同一飼料で飼育を続けた。各群、8 週齢 オス マウス肝よりtotal RNAを抽出後、DNAマイクロアレイはAffymetrixのGeneChip Mouse Genome 430 2.0 Arrayを用いた。GeneSpring GXあるいはRMA, WADで解析した。
【結果】通常飼料は、とうもろこし、米糠、魚粉、アルファルファ、大豆油など天然成分より作成されており、また精製飼料は、カゼイン、スクロース、精製大豆油など精製成分で通常飼料と同じ栄養価になるように構成されている。肝CYP各分子種の発現は精製飼料で飼育したラットで、一般飼料で飼育したコントロールより低値を示した。DNAマイクロアレイ解析では、CYPを始めとする薬物代謝酵素系、脂質代謝系、そしてコレステロール生合成系での差異が認められた。この原因として、精製飼料中の脂質種の単一性、コレステロール含量の低値が考えられた。天然物由来のフラボノイド系低分子化合物の低下だけではなく、脂質量および種類の減少が薬物代謝酵素類誘導の低値に関連していることが示唆された。
著者関連情報
© 2011 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top