日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-156
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一般演題 ポスター
カニクイザルを用いたLPS及びトロンビン誘発凝固・線溶系異常モデルにおけるTAT,PAI-1,PICの変化
*蓑毛 博文谷口 康徳和田 香代子堤 志穂杉本 崇至田淵 秀剛林 純也神田 由美門倉 豪臣中間 和浩洲加本 孝幸
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キーワード: TAT, PAI-1, PIC
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抄録
凝固・線溶系マーカーであるトロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT),プラスミノーゲン活性化抑制因子(PAI-1),α2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体(PIC)を用いてカニクイザルにおける凝固・線溶系の変化を検出可能か確認するため,凝固活性化・線溶抑制作用が知られているLPS及び凝固・線溶活性化作用が知られているトロンビンをカニクイザルに投与し凝固・線溶系マーカーの変化を調べた. カニクイザル雄3例に,生理食塩液,LPS(10 µg/kg)及びトロンビン(76 U/kg)を単回静脈内投与し,各投与前,投与後2(トロンビン投与では投与後30分),4,6,8,24時間に採血し,血液学的検査,PT,APTT,フィブリノーゲン,Dダイマー,TAT,PAI-1,PICを測定した. LPS投与では,TAT,PAI-1濃度は投与後上昇し,TAT濃度は投与後2時間に,PAI-1濃度は投与後4時間にピークに達し,投与後24時間には投与前と同程度に回復した.PIC濃度の上昇もみられたが,その程度は軽微であった. トロンビン投与では,TAT,PIC濃度は投与後上昇し,TAT,PIC濃度は投与後30分にピークに達し,投与後8時間には投与前と同程度に回復した.PAI-1濃度の上昇もみられたが,その程度は軽微であった. TAT,PAI-1,PICの変化は,カニクイザルへのLPS及びトロンビン投与による凝固・線溶系の想定される変化を反映しており,ヒトやラットで報告されている変化と同様であった.これらの結果から,TAT,PAI-1,PICを指標としてカニクイザルにおける凝固・線溶系の変化を検出可能であると考えられた.
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© 2011 日本毒性学会
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