日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-182
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一般演題 ポスター
アセトアミノフェン誘導性肝障害バイオマーカーの比較研究
*南 圭一上西 千晶五十嵐 芳暢木野 潤一神吉 将之阿部 香織堀之内 彰小野 敦山田 弘漆谷 徹郎大野 泰雄
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抄録
【背景および目的】トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト(TGP2)は,トキシコゲノミクスによる安全性バイオマーカーの探索を行い,医薬品開発の効率化を目指す産官共同研究である.昨年はグルタチオン(GSH)枯渇型肝障害について,アセトアミノフェン(APAP)投与ラット肝障害モデルのメタボロミクス/ゲノミクス解析を用いたバイオマーカー(5-Oxoproline及びcholate類)について報告した.本検討では,ラットにグルタチオン枯渇剤であるbuthionine-sulfoximine(BSO)を前処置したラットに対してAPAPを投与し,種々のバイオマーカー,関連する酵素について検討し,既報のバイオマーカー間の有用性検証及び,ラットにおける毒性の個体差解明を目的とした.
【方法】ラット(Crl:CD (SD)IGS;12週齢)にBSO(0または450 mg/kg)を前処置(腹腔内投与)し,1時間後にAPAP(0, 300, 1000 mg/kg)を経口投与した.APAPの投与後3, 6, 9及び24時間において肝及び血漿を採取し,血液生化学マーカー測定,血漿中miRNAの測定,肝グルタチオン(GSH)含量測定及び肝病理組織学的検査を行った.さらに,投与後24時間の全例においては,肝mRNAのマイクロアレイ解析を実施した.
【結果】BSOによるGSH枯渇作用はAPAP投与後3時間から9時間において認められていた.また,APAP投与後24時間において顕著な肝障害が認められ,特にBSO併用群において強く認められた.しかしながら,肝障害が最も顕著であった個体はAPAP単独群に含まれており,この個体は還元型及び総GSH含量が他の個体に比べて高値であったことから,GSH抱合能を中心に原因究明のための追加検討を行っている.現在,肝マイクロアレイ,GST遺伝子多型と肝障害フェノタイプとの関連について検討中である.
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© 2011 日本毒性学会
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