抄録
マイクロミニピッグは富士マイクラが開発した超小型の実験用ミニブタであり、現在、薬物の安全性評価や薬効評価に用いるべく、さまざまな研究が進められている。我々は、心毒性評価ツールとしてのマイクロミニピッグの可能性について、心電図の特徴を中心にイヌやサルと比較検討した。
イヌの心電図は、波形が比較的明瞭であるが、体位の変化によって軸が変わりやすい。サルは低電位がしばしば見られる他、四肢が自由であることから、電極を触ることによるノイズが多くなる。また、イヌ・サルともに活動量が多く、筋電の混入もよく経験し、心電図計測の妨げとなる。MMPの心電図はイヌと同様に波形が明瞭で、サルで見られる低電位は認められなかった。また、四肢が電極に触ることがないため、比較的ノイズの少ない心電図であり、計測は容易であったが、稀にノイズが認められる例もあり、その原因は不明であった。T波形では、陰性T波や2相性のT波が高率に発現したが、波形ははっきりしており、計測に苦労することはなかった。
まだ少数例の評価であるが、MMPはサルやイヌと比べても、心電図の計測は問題なく行えるものと推察された。なお、安全性評価を実施する上で必要な血液学的データ、血液生化学的データ、尿データについても併せて報告する。