日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-36
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一般演題 ポスター
フェニトイン誘導性肝障害マウスの作出と発症メカニズムの解明
*佐々木 永太常山 幸一深見 達基中島 美紀横井 毅
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抄録
【目的】 抗てんかん薬フェニトイン (DPH) は,肝障害や薬物過敏性症候群を引き起こすことが報告されている。ヒトにおけるDPH誘導性肝障害では,肝組織に免疫細胞の浸潤が認められることから免疫因子の関与が示唆されている。しかし,これまでにDPH誘導性肝障害モデル動物の報告はなく,その発症メカニズムは不明な点が多い。本研究では,DPH誘導性肝障害モデルマウスを作出し,免疫や炎症反応及び薬物代謝酵素による代謝的活性化の視点から,肝障害発症メカニズムを解析した。
【方法】 雌性C57BL/6マウスにDPHとL-buthionine sulfoximine (BSO) を5日間併用投与することで肝障害モデルを作出し,肝臓中の抗酸化物質,免疫および炎症に関する因子を測定した。P450阻害剤である1-aminobenzotriazole (ABT) を併用投与し,代謝的活性化の影響を検討した。
【結果及び考察】 DPHとBSOの5日間の併用投与により,DPH最終投与後24-48時間後にALT値が有意に上昇した。自然免疫因子においては,NACHT, LRR and PYD domains-containing protein (NALP) 3, interleukin (IL)-1β mRNAの有意な発現上昇が認められ,血漿中high-mobility group box (HMGB) 1タンパク質の上昇が認められた。獲得免疫系ではRetinoic acid-related orphan receptor (ROR)-γt, IL-6, IL-23 mRNAの有意な発現上昇および血漿中IL-17タンパク質の上昇が認められたことから,Th17細胞の関与が示唆された。ABTの投与によりALT値の有意な低下が認められたことから代謝的活性化の関与が示された。以上より,DPH誘導性肝障害の発症における代謝的活性化および免疫因子の関与が示された。
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© 2013 日本毒性学会
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