抄録
薬物や化学物質の安全性評価において,内分泌器官に対する影響の有無を評価しておくことが一般的になっており,その評価項目の一つとして血中ホルモン濃度がある.毒性試験において,血中ホルモン濃度の変化を評価するためには,動物のホルモン濃度の日内変動等を事前に把握しておく必要があり,我々はこれまで種々の実験動物のホルモン濃度の背景データを採取してきた.
医薬品開発における大動物の毒性試験では,非げっ歯哺乳類としてイヌあるいはサルが一般的に用いられてきたが,近年,実験利用に対する抵抗が比較的少ないミニブタやマイクロミニピッグの使用が増加している.
今回我々は,イヌやサルに代わる非げっ歯哺乳類として注目されているGöttingen系ミニブタについて,日周性(日内変動)および性周期におけるホルモン濃度の変化を調べるため,市販のホルモン濃度測定試薬(RIA法及びELISA法)の定量性能を検証(定量法バリデーション)し,雄性については日周性に関してTSH,T4,T3,cortisol,aldosterone,testosterone,insulinおよびPTHを測定し,雌性については性周期に関してestradiol,progesterone,LH,FSHおよびprolactinを測定した.