日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-88
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一般演題 ポスター
フェノフィブレート投与ラットにおける血漿中ALT活性上昇メカニズムの検討
*近藤 千真横山 英明鈴木 優典小林 章男正田 俊之公納 秀幸菅井 象一郎下位 香代子
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抄録
【緒言】我々はこれまでに,制限給餌飼育あるいはフェノフィブレート(FE)投与により糖新生が亢進した結果,ラット肝臓中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性が上昇することを報告した。また,血漿中ALTの変動には,肝臓及び小腸粘膜中総ALT活性が寄与していることを報告した。今回,2種類の給餌条件(自由摂取及び制限給餌)で飼育したラットにFEを反復投与して,血漿中ALT活性上昇のメカニズム解析を行った。【方法】雄性SDラットを自由摂取群(ALF群)あるいは制限給餌群(RF群,1日4時間,9:00-13:00に給餌)の2群に分け,それぞれの摂餌条件でFEを0(対照群),100及び400 mg/kgの用量で14日間反復経口投与した(n=7)。実験期間中に血漿中ALT活性を経日的に測定するとともに,最終投与の翌日に肝臓及び小腸粘膜を採取して重量を測定し,肝臓及び小腸粘膜中のALT活性を測定した。【結果及び考察】ALF群の血漿中ALT活性においてFE投与による明らかな変動は認められなかった。一方,RF群では,FE 400 mg/kgの投与により血漿中ALT活性の上昇がみられた。ALF群の肝臓中総ALT活性はFE投与により極軽度に上昇したが,小腸粘膜中総ALT活性に明らかな変動は認められなかった。一方,RF群の肝臓中及び小腸粘膜中総ALT活性はFE投与により明らかに上昇した。以前報告した肝臓及び小腸粘膜中総ALT活性を説明変数とした重回帰式を用いて,RF群の肝臓及び小腸粘膜中総ALT活性から血漿中ALT活性の予測値を計算したところ,実測値と近似した。以上の結果から,RF群でFE投与により認められた血漿中ALT活性の上昇には,肝臓中総ALT活性の上昇とともに小腸粘膜中総ALT活性の上昇が寄与していると考えられた。
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© 2013 日本毒性学会
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