日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-108
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一般演題 ポスター
カニクイザルにおける携帯歩行計を用いた歩行異常の検出
*平嶋 昂落合 陽介坂井 勝彦和田 聰大西 康之平塚 秀明
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抄録

【目的】医薬品開発において、カニクイザルにおける中枢神経系、特に運動性や行動変化に及ぼす影響の評価は,主に機能観察総合評価法(FOB法)に従って実施される。しかし、カニクイザルの場合、観察者に対する警戒心により運動性や行動異常がマスクされる可能性があり,観察者間で評価が異なる恐れがある。我々は、薬剤の影響による運動性や行動変化に及ぼす影響を間接的かつ客観的に評価するためのツールとして、携帯歩行計「見守りゲイト」に着目し、その有用性について検討した。
【方法】見守りゲイトは、内蔵された3軸加速度センサーにより動作に伴って生じた加速度を記録するデバイスである。今回,見守りゲイトをカニクイザルの背中に背負わせ、中枢神経作用薬であるメタンフェタミンおよび抑制薬であるジアゼパムを投与し、約24時間の活動量および歩行パターンの変化について記録・評価した。
【結果・考察】
メタンフェタミンおよびジアゼパム投与後24時間の活動量は、媒体投与後24時間の活動量と比較し、それぞれ約7倍および約1/14倍を示した。ジアゼパム投与時の歩行パターンや動作を詳細に解析すると、投与後約1時間より歩調リズムが低下し、約2~3時間において歩行動作の抑制および座位状態における前後へのふらつきが認められた。また、投与後約4~9時間では歩行時の左右へのよろめきが観察された。投与後約4時間前後の歩行を詳細に解析すると、左右のステップの加速度変化に規則性がなく、加速度変化も小さいことから一歩の踏み出しに力が入っていないことが推測された。以上のことから、見守りゲイトは,カニクイザルの運動性や行動変化を客観的に評価するツールとなり得る可能性が示唆された。

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© 2014 日本毒性学会
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