日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-127
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コチニール色素及びカルミンの感作性評価のための各種試験法の適用性について
*五十嵐 良明小濱 とも子清水 久美子河上 強志秋山 卓美藤井 まき子
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抄録

【目的】コチニール色素は食品用着色料として、そのアルミニウムレーキのカルミンは化粧品に赤色色素として添加されている。近年、食品添加物や化粧品製造に関わっていた人がカルミンに対して喘息を生じた例、コチニール色素またはカルミンで着色された食品や化粧品によってアレルギーを引き起こした例が報告されるようになり、注意喚起がされた。これらの反応は色素中に残存するタンパク質による即時型アレルギーである可能性が高いが、即時型アレルギーを評価する試験法は確立していない。本研究では、既存の感作性試験法でこれら化合物の反応性を調べるとともに、それら試験法の適用可能性を考察した。
【方法】LLNA:DA:マウスの耳をSLS溶液で処理した後、試験物質を4回塗布した。8日目に耳介リンパ節を採取してリンパ節細胞を遊離させ、市販キットを用いてATP量を測定した。h-CLAT:THP-1細胞に試験物質を加えて24時間培養した後、FITC標識抗体で染色し、CD54及びCD86抗原量を測定した。PLNA:マウスの足に試験物質を注射し、1週間後膝窩リンパ節を摘出し、細胞数を測定した。
【結果および考察】LLNA:DAで試験物質はDMSOに懸濁した。カルミンは溶媒あるいはコチニール色素に比べて若干高いATP量を示したが、陽性基準には達しなかった。DMSOのカウントが比較的高いことが影響したと考えられる。PLNAでは一部のコチニール色素及びカルミンは生理食塩水投与時の細胞数の2倍以上になり、カルミンはコチニール色素より高値を示した。カルミンは生理食塩水に不溶で懸濁状となり、これが刺激や炎症を惹起している可能性があり、本反応をアレルギー性と判断できるか、継続して検討している。h-CLATでカルミンはCD54のみ発現率を増加させ、コチニール色素ではいずれの表面抗原も増加させなかった。各種タンパク質の反応性と比較し、適用可能性を評価する必要がある。

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© 2014 日本毒性学会
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