日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-131
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血液酸化障害評価におけるハインツ小体の有用性
*橋本 貴生田中 春樹桂川 永美子早川 和宏峯島 浩本岡 覚
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抄録

【目的】血液酸化障害を惹起する塩化フェニルヒドラジニウム(PH)をラットに単回腹腔内投与すると,赤血球内でヘモグロビン(Hb)が変性しメトヘモグロビン(metHb)が産生される。MetHbは赤血球内部の膜に不可逆的に沈殿しハインツ小体(HZB)を形成するか還元酵素によりHbへと還元されることにより,一過性に上昇し24時間後には大幅に減少する。一方,HZBは72時間後も多数確認される。本検討では,マウス及びラットを用い,PH投与直後の赤血球に占めるHZB含有赤血球の割合(Heinz [%])とmetHb濃度の変化,並びに採血後時間を経た血液での変化から,いずれのパラメータが血液酸化障害の指標としてより適切かを検討した。さらにはいずれの動物種がより適切かを検討した。
【方法】13週齢の雄性マウス及びラットに0~60mg/kgまでのPHを8用量,単回腹腔内投与し,1時間後に得られた静脈血についてmetHb濃度を比色法により測定した。HZBについては,採血直後あるいは3時間室温放置した血液をニューメチレンブルーで超生体染色後,血液塗抹標本を作製しHeinz (%)を算出した。
【結果】マウス,ラットともにPHによる血液酸化障害初期にはHeinz (%)とmetHb濃度に高い相関性が認められ,指標としての差異は認められなかった。しかし,採血3時間後の試料ではHZB形成が進行し,採血直後にはmetHb濃度,Heinz (%)共に変化のなかった低用量のPHでもHZBの形成が確認された。
【結論及び考察】血液酸化障害は,採血直後に繁雑な処理を要するmetHb濃度測定を行うことなく,Heinz (%)のみで予測することが可能であり,採血後に時間を経た試料ではHeinz(%)によって酸化障害をより鋭敏に検出できることが示唆された。また,マウスはPHに対するHZB形成量が多く,血液酸化障害モデル動物として有用であることが示唆された。

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© 2014 日本毒性学会
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