日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-133
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一般演題 ポスター
Part 2:小動物Plasma Micro-Samplingに対応するための高感度LC/MS/MS測定技術の確立と検証
*仁井 一夫斧研 雅子永江 祐輔富樫 一天山口 建公平 陽子田村 恵梨子
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抄録

 動物を研究に用いる際に動物に対する福祉的・倫理的配慮が必要であり、3R(Reduction、Replacement、Refinement)の原則が提唱されている。バイオアナリシス(生体試料中薬物濃度測定)においても、上記3Rの観点から、血漿などのサンプル使用量を下げる取り組みとして、濾紙に血液をスポットして乾燥させたDried Blood Spots(DBS)が報告されているが、スポット時の実験者の手技の差や血液のヘマトクリット値の差によるスポットの広がりが薬物濃度定量値に影響することなどが報告されている。さらなる微量化に期待される技術としてPlasma Micro-Sampling(PMS)法がある。PMSは、キャピラリーなどの微量採血管を用いて血液を採取する方法であり、従来の採血量に比べて10分の1から20分の1近く血液量が削減できる。大幅な動物数の削減が期待できる一方、従来に比べ20倍の測定の高感度化が必要である。
 高感度化測定の事例として、ヒト臨床試験におけるマイクロドーズ(MD)試験における高感度LC/MS/MS測定技術が挙げられる。当社においても、通常の臨床試験の100倍近い感度アップが求められるMD試験において、非放射線標識体のCold化合物でもLC/MS/MS測定技術を駆使することで十分な測定結果が得られることを経験した。一方MD試験におけるヒト血漿使用量は0.5~1mLであり、高感度測定に相応の採血量が必要であった。小動物のPMSに対応するにはさらに高感度化が必要であり、LC/MS/MSの装置感度上昇やミクロLCのようにインレットを微量化することによる感度上昇を試みた。結果、これら最新技術を組み合わせることで小動物のPMSに対応できる高感度化が可能であると考えられた。高感度化測定の事例として、erythromycin測定法の紹介、ならびにイナリサーチ社と共同の検証試験における、erythromycinを投与しPMS法で微量採血したラットおよびマウスの血中濃度測定結果を報告する。

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© 2014 日本毒性学会
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