日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-211
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一般演題 ポスター
ラットの急性腎障害モデルにおける各種腎毒性バイオマーカーの比較検討
*梶山 優小川 文一朗松江 健太大野 理絵須田 朗子辻 暁司落合 祥啓Tore ERIKSSON杉浦 正幸堤 俊輔
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抄録

【背景・目的】近年では幾つかの新規バイオマーカーが、ラットの急性腎障害を検出するためのバイオマーカーとして有用性が報告されている。しかしながらこれらの新規バイオマーカーを用いた腎毒性評価実験及び従来のバイオマーカーとの対比の情報は不十分である。そこで本研究では、典型的なラットの薬剤性急性腎障害モデルを用いて新規腎毒性バイオマーカー及び古典的腎毒性バイオマーカーの感度を解析し、さらに各々の回復性まで検討した。
【方法】ゲンタマイシン硫酸塩の0、80及び160 mg/kgを雌ラットに2、4又は8日間反復投与後に血液生化学的検査及び病理検査を行った。また、8日間反復投与後に2週間休薬させる群を設け、経日的(投与2、4 及び8日、休薬7及び14日)に尿検査[尿生化学的検査(古典的腎毒性バイオマーカー)及び選択反応モニタリング(新規腎毒性バイオマーカー)]を行うとともに、2週間休薬後に血液生化学的検査及び病理検査を行った。
【結果・考察】尿検査(新規及び古典的腎毒性バイオマーカー)において、病理組織学的検査における傷害性変化より先行して認められたパラメータ、傷害性の変化と同時期に認められたパラメータ、休薬期間で傷害性の変化が消失しても継続して認められたパラメータがあった。また、病理組織学的変化が進行する一方で、消失傾向を示したパラメータも認められた。新規バイオマーカーの3項目(β2m、Cys-C及びNGAL)では血液生化学的検査パラメータ(CRE又はBUN)よりも感度が高く、その他の項目は血液生化学的検査パラメータよりも感度が低いという結果になった。腎障害発生過程において各バイオマーカーの変動パターンが異なることから、一般毒性試験等のどのような変化が起こるか予測できない場合の腎毒性の評価には、変動パターンの異なるパラメータを複数用いて評価を行うことが必要であると思われた。

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© 2014 日本毒性学会
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