日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-219
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ニコチンによるけいれん発現のメカニズム解析
*大野 行弘國澤 直史水口 裕登奥村 貴裕徳留 健太郎落合 緑溝辺 雄輔田村 深雪大高 美幸近持 壽郎高久保 佑一河合 悦子清水 佐紀
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抄録
【目的】高用量のニコチンは、神経興奮毒性としてけいれん発作を誘発する。また、ヒトにおいても、nACh受容体の変異が常染色体優性夜間前頭葉てんかんを誘発することが知られている。そこで本研究では、ニコチンのけいれん誘発作用のメカニズムを明らかにする目的で、神経興奮マーカーであるFos蛋白質の発現を指標に、脳内各領域での神経活動性に対するニコチン投与の影響を解析した。
【方法】実験にはddY系雄性マウスを用い、4 mg/kgのニコチンを腹腔内投与した際のけいれん発現を行動薬理学的に評価した。また、ニコチン投与の2時間後に脳を摘出し、厚さ30 µmの冠状切片を作成した後、抗Fos抗体を用いて免疫染色し、前脳各部位におけるFos免疫陽性細胞数を計測した。
【結果および考察】ニコチン4 mg/kgの投与により、検討したほとんどの動物でけいれん発作が誘発された。ニコチン投与によるけいれん発現は、サブタイプ非選択的なnACh受容体拮抗薬のmecamylamineおよびα7 nACh受容体拮抗薬のmethyllycaconitineにより拮抗され、α4 nACh受容体拮抗薬のdihydro-β-erythroidineにより影響を受けなかった。一方、ニコチン誘発けいれん後の脳内Fos蛋白の発現を解析した結果、梨状葉皮質、扁桃核内側核、手綱核、視床、視床下部、孤束核で有意なFos発現上昇が認められた。さらに、これら脳部位におけるFos発現の上昇も、mecamylamineの投与により有意に抑制された。以上の結果より、高用量のニコチンは特に梨状葉皮質、扁桃核などを過剰興奮することによりけいれん発作を惹起し、けいれん発現にはα7 nACh受容体が一部関与していることが示唆された。
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© 2014 日本毒性学会
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