日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-29
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優秀研究発表 ポスター
ヘテロサイクリックアミンが誘発するgpt deltaラット肝臓のin vivo変異原性に対する高脂肪食摂取の影響
*高須 伸二石井 雄二木島 綾希横尾 諭能美 健彦西川 秋佳小川 久美子梅村 隆志
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抄録
疫学的研究から、高脂肪摂取は発がんのリスクファクターであることが示唆されている。また、高脂肪摂取は齧歯類の肝臓に発がんプロモーション作用を有することが報告されているが、そのメカニズムの詳細は未だ不明な点が多く、さらに発がんイニシーション期における役割は明らかになっていない。本研究では、高脂肪食摂取が遺伝毒性発がん物質の引き起こす遺伝子突然変異にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的として、レポーター遺伝子導入動物であるgpt deltaラットにヘテロサイクリックアミンである2-amino-3-methylimidazo[4,5-f]quinolone (IQ)および2-amino-3,8- dimethylimadazo[4,5-f]quinoxaline (MeIQx)と高脂肪食の併用投与を行い、遺伝毒性肝発がん物質が引き起こすin vivo変異原性に与える高脂肪食摂取の影響を検討した。6週齢の雄F344系gpt deltaラットに、オリーブ油に懸濁させたIQを1.0 mg/kg体重、またはMeIQxを5.0 mg/kg体重の用量で28日間強制経口投与した。さらに、IQまたMeIQxの投与と並行して、それぞれのラットに基礎食(粗脂肪含量5.4%)または高脂肪食(粗脂肪含量32%)を自由摂取させた。投与終了後、肝臓のgptおよびSpi-遺伝子変異体頻度(MF)解析を行った。その結果、IQまたはMeIQx + 基礎食群のラット肝臓におけるgpt MFおよびSpi- MFは、基礎食単独群に比較して統計学的に有意に上昇した。IQあるいはMeIQx + 高脂肪食群におけるgpt MFはIQあるいはMeIQx + 基礎食群に比較して有意な変化は認められなかったが、MeIQx + 高脂肪食群におけるSpi- MFはMeIQx + 基礎食群に比較して統計学的に有意な低値となった。今後、レポーター遺伝子突然変異体のスペクトラム解析を実施して、ラット肝臓における遺伝毒性発がん物質のin vivo変異原性に与える高脂肪食摂取の影響について考察する予定である。
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© 2014 日本毒性学会
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