抄録
多項目血球分析装置用動物対応ソフトウェアXN-Vシリーズはヒト用に開発された多項目血球分析装置XNシリーズ を用いて動物の血液学的検査に対応するものである。XN-Vシリーズでは新規に白血球総数と有核赤血球を同時に測定できるWNRチャンネル、血小板を特異的に染色し低値域の測定精度向上を可能としたPLT-Fチャンネル、動物専用機能として必要血液量を低減させた低吸引量モードを搭載している。これら機能について基礎検討(再現性、希釈直線性、経時安定性、有核赤血球の測定性能評価)結果を報告する。
【方法】
[再現性試験]:各動物種(マウス、ラット、イヌ、サル、ウサギ、モルモット、ブタ)の血液を使用し、各測定モードにて連続10回測定(マウスは5回)を実施し、変動係数を算出し再現性を確認した。[希釈直線性試験]:安定性物質およびマウス、ラットの血液を使用し、対照法(XT-2000iV測定値および理論値)と各測定モードの測定値を確認した。[経時安定性試験]:各動物種(マウス、ラット、イヌ、サル、ウサギ、モルモット、ブタ)の血液を使用し、室温および冷蔵保存での経時変化を48時間後まで確認した。[有核赤血球の測定性能評価]:ラットおよびイヌにおいて目視測定との相関を確認した。ラットはPhenylhydrazine投与により高値有核赤血球検体を作出し、イヌは動物病院からの入手検体のうち装置測定で有核赤血球高値を示した検体を抽出し、それぞれ目視と装置測定値の相関を確認した。
【結果・考察】
基礎検討ではどの試験においても良好な結果を得ることが出来た。特に新規搭載のPLT-Fチャンネルでは従来の電気抵抗方式と比較しPLT数の測定性能が向上していることが確認できた。また、有核赤血球の測定においても良好な相関が得られていることから、新規パラメータとして応用が期待される。