日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: S21-5
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シンポジウム21 心循環器毒性-非臨床から臨床へ、臨床からのフィードバック
非臨床現場からのQ&A
*土居 正文宅見 あすか宮田 英典宮内 慎南谷 賢一郎
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抄録
ILSI環境保健科学研究所(Health and Environmental Sciences Institute;HESI)は、2009年からFDAに提出されたQT/QTc評価試験(Thorough QT/QTc study)を実施している約150の薬物について非臨床試験(hERG試験and/or APD試験並びにイヌ又は霊長類の心電図評価)との相関を調査した。その結果、in vitro試験として実施されるhERG試験とAPD試験の感度(陽性と判断できる比率)は低く、一方、イヌ又は霊長類のECG試験の感受性はin vitro試験系と比較して高かった。さらに、hERG阻害活性陽性の化合物のおよそ70%はhERGチャネルのトラフィッキング阻害作用も有することが分かった。これらの結果を受けて、FDAからは2012年2月にトラフィッキング阻害作用、NaチャネルやCaチャネルに対する作用を確認する必要性、in silicoの利用の可能性、さらに2013年2月にはcardiac ion channels(Na、Ca、K)screeningの実施、iPS細胞など幹細胞由来心筋細胞の利用、in silico modelingの利用について提案された。このような背景から、2013年7月には、ICH E14を2015年7月までに、ICH S7Bを2016年7月までに改訂(統廃合なども含む)を行なうことが発表されるに至った。非臨床安全性では、CiPA(nonclinical proarrhythmia assessments(the Comprehensive In vitro Proarrhythmia Assay)において、マルチチャネルアッセイ、in silico、iPS細胞等を用いたMyocyte Based Approachの結果を統合し、催不整脈リスクをスコア化することが提唱されている。また、本邦でのヒトiPS分化細胞を用いた医薬品の催不整脈予測試験の開発は、2013年以降、産官学によるコンソーシアムであるJiCSA(Japan iPS Cardiac Safety Assessment)やCSAHi(Consortium for Safety Assessment using Human iPS Cells: HEART team)を中心に研究が推進されてきた。
本セッションでは、新しいパラダイムに即したスクリーニング戦略にどのように対応すれば良いのか、今後の非臨床における心毒性評価を実施するための一助となるよう議論を深めて行きたい。
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© 2016 日本毒性学会
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