抄録
医薬品添加剤は有効成分と共に医薬品を形作る重要な構成成分であり、医薬品の飲みやすさや安定性の向上、有効成分の安定した放出等に役立っている。医薬品の製剤化にあたっては、これらの添加剤を複数組み合わせて用いる場合も多く、製剤によっては構成成分の大部分が添加剤で占められていることも少なくない。そのような観点から考えると、医薬品添加剤の安全性確保は医薬品全体としての安全性を大きく左右する可能性を有しているものと考えられる。医薬品に用いられる添加剤の安全性評価は、それを含有する医薬品の承認審査と同時に実施されるが、医薬品医療機器総合機構で行われている医薬品添加剤審査における評価項目や安全性評価に対する考え方、審査のプロセスについて概説する。また、日局の製剤総則に記載されている通り、医薬品添加剤は薬理作用を示さず、無害であることが求められており、基本的に無毒・無害なものと考えられているが、様々な原因でヒトに対し、副作用を生じる場合がある。このような事例についてもいくつか紹介したい。その他、医薬品添加剤に関連する最新動向についても、時間の許す限り取り上げたいと考えている。
なお、本発表は、発表者の個人的見解に基づくものであり、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の公式見解を示すものではない。