抄録
近年、安全性試験へのブタの利用が進んでいる。その多くはGöttingen minipigを用いたものであるが、より小型で扱いやすいMicrominipigも注目されてきている。Göttingen minipigでは精細管上皮の変性が高頻度にみられる一方、第42回本学会学術年会にて寒川らはMicrominipigにおけるそれら変性像の発現頻度は非常に低いことを報告した。精細管等において自然発生性の変化が少ないことは、精巣毒性を評価する上で有用であるが、実際にMicrominipigを用いて精巣毒性を評価した報告はない。そこで、精巣毒性を惹起する薬物として知られるドキソルビシンをMicrominipigに静脈内投与し、雄性生殖器の形態や機能にどのような影響がみられるか検討した。Microminipigの精巣成熟の目安は6ヶ月齢とされることから、10~20ヶ月齢の動物を用いてドキソルビシンを週1回間歇(計2回)投与し、精巣、精巣上体、精嚢及び前立腺等の病理組織変化を経時的に解析した。その結果、対照群では精細管上皮の変性等、異常所見はみられなかったが、ドキソルビシン投与群では精粗細胞及び精母細胞の減少が認められた。この他、経時的に血清中テストステロン濃度及び血漿中薬物濃度測定を行った。また剖検時に精巣上体より精液を採取して精子検査を行った。本シンポジウムでは、これらのデータをGöttingen minipigを用いた同様の実験結果と比較し、精巣毒性評価におけるMicrominipigの有用性を考察する。
Recently, the number of safety study using miniature pigs has increased; however, there is no information about testicular toxicity using Microminipigs. In this study, several abnormalities on the male reproductive organs were observed after dosing of Doxorubicin in Microminipigs. The value of Microminipigs in the evaluation of the testicular toxicity will be discussed by comparison with the results of the similar experiment using Göttingen minipigs.