日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-286
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PBOラット肝発がんに対する党参または黄芪煎じ液の影響
*金 美蘭陳 瑶王 攀唐 倩方 仁東王 自力
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抄録
【背景】フラボノイド類化合物を含む漢方薬の一種である党参ならびに黄芪の主成分は、活性酸素種(ROS)などを駆逐する抗酸化作用や抗腫瘍作用を有することが知られている。しかし、臨床でよく使われている煎じ液は同様な作用を有するか否かは不明である。
【目的】本実験ではPBOのラット肝発がんに対する党参ならびに黄芪煎じ液の抑制作用について検討し、その作用機序を解明することを目的とした。
【材料と方法】6週齢の雄SDラット40匹を4群(1群:DEN単独群、2群:DEN+0.5% PBO群、3群:DEN+0.5% PBO+党参煎じ液群、4群:DEN+0.5% PBO+黄芪煎じ液群)に分け、全群にdiethylnitrosamine(DEN)によるイニシエーション処置を行い、実験開始2週後より第2~4群には0.5%PBOを6週間混餌投与した。第3群にはPBOを投与する同時に党参煎じ液を、第4群には黄芪煎じ液を1g(生薬)/ml濃度にで6週間強制経口投与した。実験開始3週後に全群に対して2/3肝部分切除を行った。投与終了後に動物を屠殺し、体重や肝重量測定すると共に、HE染色、Ki67やGST-P免疫染色、real-time RT-PCRによる遺伝子発現解析を行った。
【結果】その結果、PBO投与群で党参または黄芪群の絶対および相対肝重量はDEN+PBO群と比べ有意な差はなかったが、GST-P陽性細胞巣の数、面積においては明らかな減少または減少傾向を示した。さらに、党参または黄芪群のKi67陽性細胞率はDEN+PBO群に比べ有意に減少した。遺伝子発現解析においでは、黄芪群のCYP1A1のみDEN+PBO群に比べ有意に減少した。
【結論】 これらの結果から、党参または黄芪煎じ液はPBOの肝発がんに対して抑制作用を有し、その抑制機序には抗酸化または細胞増殖抑制などが含まれている可能性が示唆された。
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© 2017 日本毒性学会
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