日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-31
会議情報

優秀研究発表 ポスター
ブラジル産グリーンプロポリスの皮膚感作性に関する検討
*白石 絵里奈田中 健人井戸 章子中西 剛永瀬 久光
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】プロポリスはミツバチが植物から作る膠状の物質であり、抗酸化等の効果が期待されることから、香粧品等の皮膚に塗布する用途で古くから用いられている。その一方で、プロポリスには皮膚刺激性が臨床的に報告されているが、その皮膚感作性については未だ十分に評価が行われていない。本研究では、プロポリスの皮膚感作性について、OECDテストガイドライン(TG)収載のin vitro試験であるhuman Cell Line Activation Test (h-CLAT)、およびin vivo試験であるLocal Lymph Node Assay (LLNA)を用いて評価した。
【方法】プロポリスはブラジル産グリーンプロポリスのエタノール抽出物を用いた。h-CLATはTG442Eに準じて行った。ヒト単球性白血病由来株化細胞(THP-1細胞)にプロポリスを細胞生存率75%前後の濃度で添加し、24h後に細胞表面抗原(CD54及びCD86分子)の発現をFACSで測定した。LLNAは、BALB/cマウス(雌性8週齢)を実験動物に用い、TG429に準じて行った。被験物質を0.9375、1.875、3.75、7.50、15.0w/v%の濃度でマウスの耳介に3日間連続塗布後、3H-チミジンを尾静脈注射により投与し、所属リンパ節における3H-チミジン取り込み量を指標に評価した。
【結果・考察】h-CLATの結果、プロポリスはTHP-1細胞のCD54及びCD86を発現上昇させる傾向を示したものの陽性判定基準を満たさず、この試験での感作性は陰性と判定された。一方で確定試験であるLLNAにおいては、高用量群で塗布部での炎症が肉眼的に観察されると共に、所属リンパ節における3H-チミジン取り込み量の用量依存的な増加が認められた。さらに、感作性の判断基準である刺激指数が3となる用量は3.49 w/v%と算出され、プロポリスは中等度感作性物質に分類された。
【結論】プロポリスはLLNA試験にて中等度感作性物質と判定され、経皮適用する際の使用基準となることが期待される。また、h-CLATでは検出できない物質も存在することが示唆された。
著者関連情報
© 2017 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top