日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: S8-1
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シンポジウム8 メタルトキシコロジーを牽引する最先端分析法の現状と展望
放射光X線分析を利用した植物における有害元素の動態解析
*保倉 明子
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抄録
 ある種の植物は,鉛やカドミウムなど有害な重金属濃度が高い環境でも育ち,体の中に高濃度の重金属を蓄積することができる。これらの植物を使った環境浄化技術(ファイトレメディエーション)は省エネルギー・低コストであり,環境にやさしい技術として注目されている。これらの植物は,なぜ有害な重金属を高濃度に取り込んでも枯死しないのであろうか?我々は先進的X線分析技術を駆使して,植物における重金属蓄積機構の解明を目指して研究を行っている。
 放射光X線分析は,(1) 高輝度で微量元素分析が可能,(2) 集光素子と組み合わせると1 µm以下の空間分解能で分析が可能,(3) X線吸収分光法により様々な元素の化学形態分析が可能などの特長をもつ。現在,高輝度の放射光X線マイクロビームの活用により,細胞レベルでの元素イメージングや元素の動態解析が実現しつつある。本講演では,放射光X線分析技術について概説し,シダにおけるヒ素やクロム,セレンの蓄積機構およびタバコBY-2培養細胞におけるカドミウムの蓄積についての研究成果を紹介する。放射光X線分析を利用したメタルトキシコロジーの展開についても議論したい。
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© 2017 日本毒性学会
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