日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-129
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デキストラン硫酸ナトリウム誘発マウス大腸炎モデルにおけるラカンカの効果に関する検討
*小川 秀治美谷島 克宏清宮 航岩岸 夏菜飯田 那奈皆川 早紀小森谷 朱音小栁 美穂子林 新茂煙山 紀子中江 大
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抄録

【目的】本研究は、食品成分による大腸炎の予防・改善方策を見出すための検討として、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎モデルを用いてラカンカ抽出物の効果を検討した。

【方法】実験は、ラカンカ抽出物(以下、ラカンカ)を用いて、2種類行った。実験1は、雄性C57BL/6JJcl系マウスを各群5匹の6群に分け、投与条件を対照・1.5% ラカンカ(混餌)・1.25% DSS(混水)・1.25% DSS+0.15% ラカンカ・1.25% DSS+0.5% ラカンカ・1.25% DSS+1.5% ラカンカとして、1週間の期間で実施した。実験2は、同マウスを各群5匹の4群に分け、投与条件を対照・1.5% DSS・1.5% DSS+0.5% ラカンカ・1.5% DSS+1.5% ラカンカとした。実験2においては、DSSの5日間投与後に5日間休薬期間を設け、この休薬期間中にラカンカを投与し、これを2周期繰り返して、実験開始の20日後に解剖した。いずれの試験においても、体重・摂餌量・臓器重量・大腸の長さを測定し、炎症関連遺伝子発現解析、大腸の病理組織学的検査を実施した。

【結果・考察】実験1では、DSS群で一般状態が悪化し、体重が減少し、大腸粘膜において炎症・細胞浸潤・粘液細胞の減少・E-Cadherinの染色性増加を観察し、脾・肝の炎症関連遺伝子と大腸のMCP-1遺伝子の発現が増加したが、ラカンカの投与によりいずれも軽減する傾向を示した。実験2ではDSS群で大腸炎の病態発生が認められたが、DSS休薬期間中においても一般状態の悪化を認め、ラカンカの明らかな改善効果も確認できなかった。以上の結果は、ラカンカがDSS誘発大腸炎モデルにおいて抑制的に作用する可能性を示したものの、その抑制効果は明らかでなかった。

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