日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-191
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一般演題 ポスター
CFU-GMアッセイにおける曝露時間を考慮した殺細胞性抗がん剤の骨髄毒性評価系の検討
*長井 大地飯河 直子奥田 祐司市村 英資
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抄録

【背景・目的】顆粒球減少などを誘発する骨髄毒性は,殺細胞性抗がん剤に共通の副作用であり,多くの薬剤で用量制限因子となっている.開発化合物の選択並びに副作用対策の点から,ヒトにおける骨髄毒性評価は極めて重要である.非臨床段階におけるヒト顆粒球減少を評価する手法として,ヒト骨髄細胞を用いたin vitroにおけるColony Forming Unit-Granulocyte/Macrophage(CFU-GM)アッセイが利用される.殺細胞性抗がん剤は,その抗腫瘍作用の様式から濃度依存型と時間依存型に大別されるが,従来のCFU-GMアッセイは,濃度依存的な評価であり,時間依存性を考慮した評価に関する報告は少ない.今回,CFU-GMアッセイにおいて,殺細胞性抗がん剤の作用様式に応じた骨髄毒性を明らかにするため,時間依存性を考慮した評価方法について検討した.

【方法】評価化合物には,濃度依存型としてシスプラチン及びオキサリプラチン,時間依存型としてパクリタキセル及びイリノテカンの活性本体SN-38を用いた.各化合物を前培養液中でヒト及びマウス骨髄細胞に曝露した後,経時的に骨髄細胞を回収し,メチルセルロース培地に播種することで時間依存性を評価した.

【結果】コロニー形成阻害作用において,シスプラチン及びオキサリプラチンでは,曝露時間の違いによる影響は小さく,曝露濃度に依存した阻害作用を示した.一方,パクリタキセル及びSN-38では,短時間曝露で阻害作用は示さず,曝露時間が長くなるに従って顕著な阻害作用を示した.ヒトとマウスの反応性では,オキサリプラチンはマウス骨髄細胞で,SN-38はヒト骨髄細胞で強い阻害作用を示し,感受性に種差が見られたが,各化合物の曝露時間による阻害作用はヒトとマウスでほぼ同様であった.

【結論】今回検討した評価方法は,骨髄毒性に対する殺細胞性抗がん剤の濃度依存性作用に加えて,時間依存性作用を評価するin vitro試験系として有用であると考えられた.

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